1背中に汗をかく理由はコレ

背中に汗が流れた経験はありませんか。

しかも、汗が大量だと背中って汗をかきやすいところなのかな?と思いつつも不安になってしまいますよね。

なぜ私達は背中に汗をかくのでしょうか。

そもそも、私達が汗をかくのは体温調節のためです。つまり、体温が上昇すれば汗をかき、汗が蒸発するときの気化熱により、体内の熱を逃がして体温を下げます。

汗が分泌される汗腺は、私達の体中にあります。

特に汗腺が多い場所は、その中でも、顔、手のひら、足の裏、背中、脇、胸です。
つまり、背中は汗腺が多いので汗をかきやすい場所ということです。

ただでさえ汗をかきやすい環境に、また別の汗をかく原因が重なると、大量の汗につながります。

汗を大量にかく原因は自律神経にあります。

自律神経は交感神経と副交感神経に分かれており、片方が活発になっている時はもう片方が不活発になります。交感神経は集中したり緊張したりしている時に活発となります。交感神経が活発になっている時は、意識の覚せい、脈拍の上昇、体温の上昇など、身体にも様々な効果が現れます。体温が上昇するため、汗の量も多くなります。

交感神経の活発化による作用は、仕事に取り組んでいる時や、自動車を運転している時にはありがたい効果です。

一方、副交感神経はリラックスしていたり眠っていたりする時に活発となります。脈拍が下がったり、体温が下がったりと、交感神経とは逆の効果が現れます。体を休めたい時には副交感神経が活発になるようにしたいものですね。

交感神経と副交感神経がバランスよく作用することで私達は仕事に集中したり、安らかに眠ったりすることができます。ですが、ストレスを感じる状態が長く続いたり、生活習慣が乱れたりすると、交感神経が敏感になってしまい体温が上がるため、不必要なまでに発汗を促進してしまいます。

背中に大量の汗をかいてしまったときには

背中は面積が大きいので、汗をかくと汗染みが目立ってしまいます。

そのため、汗染みを見えないようにする対処法が必要となります。

一番簡単で効果が高いのはインナーを着用することです。

背中の汗が気になる場合には、汗取りインナーの中でも、背中をきっちりと覆うタンクトップタイプやTシャツタイプが安心です。インナーの素材は綿など、吸湿性の高いものを選ぶとよいでしょう。

2背中の汗を予防せよ、
カフェインは敵?

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背中の汗は、発汗後だと対処が大変なので、予防にも力をいれたいところ。

その為には、自律神経のバランスを整えて、汗を出す交感神経を過剰に働かせないことが必要です。

自律神経の働きを整えるためには、生活習慣を改善する必要があります。

生活習慣と自律神経は密接な関係にあり、生活習慣が乱れると自律神経もバランスを崩してしまいます。特に現代人は交感神経が活発になる時間が多い生活を送りがちです。

そのために、毎日の生活を見直してみてください。起床から

まずは睡眠をしっかり取ることが大事です。強い光を見ると、体が昼間であると勘違いして交感神経が活発になりがちです。就寝の1時間前にはテレビやスマートフォンをなるべく見ないようにしましょう。部屋の照明を暗めにすることも効果的です。照明の色も白色でなく、オレンジ色のような暖色系にすると、なお良いでしょう。

よく眠り、朝に起きたら日の光を五分ほど浴びましょう。日の光を浴びると概日リズムがリセットされるため、生活リズムも整いやすくなります。

また、暴飲暴食をせずに、体にとって必要な栄養素を摂り、適度な運動をすることも重要です。食事の時間にも気を付けましょう。就寝する2~3時間前以降には食事を控えることが望ましいとされています。

そして、仕事モードとプライベートモードのオン・オフを意識的に切り替えて、毎日リラックスできる時間を持つこと。入浴の時間を長めに取るだけでも副交感神経が活発になる効果を期待できます。

基本的なことですが、なかなか出来ていないことを意識するだけで変化があります。

また、毎朝のコーヒー習慣も発汗につながるので、注意が必要です。

コーヒーなどに含まれているカフェインは刺激物であり、交感神経を活発にする作用があります。

そのため、カフェイン入り飲料を飲んだ後は、交感神経が副交感神経に対して優位になり、飲む前に比べて発汗が促進されてしまうのです。

毎朝のコーヒーが習慣化している方は、カフェインレスコーヒーに切り替えてみるのもひとつの方法です。

3すぐ実践、背中の汗対処法

生活習慣の見直しなど、継続的に取り組むものは、即効性は少なくても長期的に見ると効果が高くなります。日常的なストレスの解消にも繋がるため、メンタルヘルスの観点からも、背中に汗をかきやすい方は、生活習慣の見直しに取り組むことをおすすめします。

しかし、すぐに効果が出る対処法も知っておくと、いざというときに焦らないで済みます。

即効性が高いのは、身体を冷やすことです。

汗はそもそも体温調整のためにかくものです。したがって、汗が出る前に自分で体温を調節してしまえばよいのです。

効率的に体温を下げるためには、リンパ節へのアプローチが有効です。血管が集中しているリンパ節を冷やすことにより、血管に流れる血液自体を冷やし、全身の熱を下げることができます。

体を手軽に冷やすには、自動販売機やコンビニエンスストアなどで、冷たいペットボトルや缶を使うのがおすすめです。

首の後ろ、脇、太ももの付け根、ひざ裏など、リンパ節を冷やしてみましょう。

4背中の汗と病気は関係ある?

どんなに対策をしても、生活習慣を見直しても一向に汗が改善しない場合は、もしかしたら多汗症という病気かもしれません。多汗症とは、暑い、運動後、刺激物を食べた後など、汗をかくべきタイミング以外の時にも汗をかいてしまう病気です。

汗かきと多汗症は見分けがつきにくいのですが、違いは体温調節のために汗をかいているのか、それともそうでないかです。

激しい運動をしたときや、気温が上昇して暑さを感じたときに、体温調節のために汗をかくのですが、汗かきの人は普通の人より早い段階から汗をかいてしまいます。

また、汗の量も他の人より多くなります。全身から噴き出る様に汗が出てしまい、拭いてもなかなか止まりません。

汗かきの原因は様々ですが、共通するポイントは体温が上がりやすく、下がりにくい体質である、という点です。例えば肥満体質の方は脂肪によって体温が放出されにくいため、汗をかきやすくなります。

一方、多汗症の人は適温で快適な状態でも汗をかいてしまいます。体温調整の面から考えて、汗をかかなくても良い状況で大量の汗をかくのが多汗症なのです。

多汗症には全身性多汗症と、局所性多汗症の2種類があります。

全身性多汗症は頭から、背中、胸、お腹、お尻、手足まで、全身に大量の汗をかきます。
更年期障害や他の病気が原因で症状が起こることもあります。

もうひとつの局所性多汗症では、身体のどこか一部限られた部分のみに多量に汗をかきます。
これは、精神的な影響が大きく、緊張やストレスのために発汗することがほとんどです。

急に汗の量が増え、他にも気になる体の不調がある場合は、無理をせずに早めに医師の診察を受けましょう。

5なぜ?背中だけに汗をかく理由

背中だけ部分的に汗が出てくる場合に考えられる原因はふたつあります。

まずひとつは、全身に汗をかいているものの、背中の面積が大きいので汗が目立ち(気になり)背中だけ汗をかいているように感じるケースです。

人は体温が高くなると、視床下部からの指令で交感神経の働きが高まります。

まずは、体の上部の汗腺の働きが活発になり、その後体中の汗腺が活発になって、最終的に手や足といった四肢のエクリン腺が活動します。

つまり、汗をかく順番は上半身→全身→手足となり、背中は早く汗をかきやすいのです。

そのうえ、背中は面積も大きいので、背中だけ汗をかいているような感覚を抱きやすくなります。実際には全身に汗をかいているため体調としては問題ありませんが、気になるようでしたらインナーをこまめに替えるなどして対処しましょう。

もうひとつの原因として、先ほども述べた局所性多汗症が考えられます。体温を下げる必要のない状況でもしばしば背中に汗をかいてしまう人は、医師の診断をあおいだ方がよいでしょう。

6リュックやバックパックを

背負っているときの汗・蒸れ対策法

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背中の汗が気になるタイミングとして、リュックやバックパックを背負っているときがあります。

このときは、リュックやバックパックが背中を覆うために熱がこもってしまい、他の部分よりも多く汗をかきます。通気性も下がるため、汗が蒸発しにくく、蒸れてしまいます。

こういった場合には、どうしたらよいのでしょうか。

大切なのは、背中とリュックやバックパックとの間を空けて空気の通り道を作ることです。通気が良くなることで汗が乾きやすくなり、こもりがちな熱も逃がすことができます。

空気の通り道を作り、汗蒸れを防止するための専用製品がアウトドア用品店などで販売されています。可能であれば試着し、自分の体に合った寸法の製品を購入しましょう。

また、荷物が少ないのであれば、背中に背負うのではなくショルダーバッグやヒップバックなどにする方法もありますね。

6汗をかくと出来やすい
あせもの原因と対処法

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背中に汗をかいて、蒸れた状態が続くと、あせもができてしまうことがあります。

汗腺から肌表面までつながる汗の通路を汗管と呼びます。この汗管が詰まってしまうと、皮膚の表面ではなく皮膚の内部組織に汗がたまってしまい、水ぶくれができたり、常在菌である表皮ブドウ球菌が増殖して炎症を起こしたりします。この症状を一般に「あせも」と呼びます。

汗腺が詰まる原因はとしては、たくさん汗をかくことによって、汗が肌表面へ流出できず、皮膚の内部へ溜まってしまう場合や、出てきた汗が洋服・下着などで蒸れてしまい、十分に流れ出すことができずに詰まってしまう場合などが挙げられます。

これらは、汗をかいたらすぐにシャワーを浴びるなど、汗をそのままにせずにしっかりと流すことで解決します。清潔を保つことで、炎症の原因となる細菌の増殖を抑えることもできます。

また、汗をかきすぎない環境を整えることで、あせもを予防することができます。室内ではエアコンを利用して温度や湿度を適切に保つとよいでしょう。肌に触れる衣服は通気性の良いものを選び、汗が乾きやすい状態にしましょう。

もし背中にあせもができてしまったときには、ひっかいたりせずに専門医を受診してください。ひっかくことで水ぶくれが破れると、内部で増殖していた細菌が別の箇所に付着して炎症を引き起こす、いわゆる「とびひ」と呼ばれる症状に発展してしまいます。

9まとめ

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背中は元々汗をかきやすく、面積も広いため、どうしても汗染みや不快さが気になってしまうものです。インナーを工夫したり、制汗デオドラント剤で汗を抑えたりすることで、汗染みを作ることなく快適に過ごしたいものです。

背中の汗染みを放置すると汗腺が詰まってしまい、あせもの原因にもなります。シャワーを浴びたり、インナーをまめに替えたりして予防しましょう。汗をかきすぎない環境を整えることも重要です。

また、ストレスを感じる状況が続き、交感神経が敏感になるとちょっとしたことでも汗をかきやすくなります。生活習慣を改善し、リラックスできる時間を設けるように心掛けましょう。生活習慣の見直しは不要な汗の抑制だけでなく、心身の健康を保つことにも繋がります。

今回の記事をきっかけに、ちょっとした心がけと工夫で背中の汗対策に取り組んではいかがでしょうか。

  • 五味常明ドクター 写真

    PROFILE

    監修者:医学博士 
    五味常明先生

    昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践。わきがの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。TVや雑誌でも活躍中。流通経済大学スポーツ健康学部、客員教授。