いつの間にかびっしょり、手汗に要注意!

COLUMN / VOL.3

「手に汗握る瞬間」というとどんなシーンやタイミングを思い浮かべますか?ハラハラドキドキする映画のシーン、接戦を繰り広げているスポーツの試合を観戦するとき、告白をして返事を待つ瞬間など、それぞれタイミングは違えども、誰でも一度は「手に汗握る瞬間」を経験したことがあるはず。
でも、特に「手に汗握る瞬間」でもないのに、手に汗をかくこともあります。
手は、日常生活でもとても出番が多い場所。スマートフォンのフリック操作やパソコンのキーボードを打ったり、かばんやつり革などのものを持ったり、食事のためにお箸を握ったりなど、一日中使う場所だからこそ、汗でベタベタし出すと、どうも気になってしまいますよね。
誰かの手に触れる機会や、握手したり手をつないだりする時に、相手に自分の手が湿っていると思われるのはちょっと恥ずかしかったりもします。愛する恋人とのデートでも、湿ったままの手をつないでいてお互いにベタベタが気になってしまったら、楽しめなくなってしまうことだってあるかもしれません。

手の汗ってなんで出るの?どうやったらなくなるの?手汗に関するアレコレ、気になりませんか?
今回は汗拭きシートを使った手汗対策から、手汗を抑えるツボまで様々な手汗対策方法をご紹介します。今まで手汗に困った経験のある方はぜひ、参考にしてくださいね。

1手が湿ってる……
手汗が出るのはこんな理由

まずは、手汗だけでなく、「汗」全般について知ることから始めましょう。
そもそも、汗の主な役割は体温調節です。私たちの体は、体温が上昇すれば汗をかき、汗が蒸発するときの気化熱により、体内の熱を逃がして体温を下げます。そのため、季節や、屋内・屋外など条件によって汗の量は変わります。
しかし、手汗は年中、季節や気温に関係なくかく、という方もいるのではないでしょうか?特に暑くもない冬の日に手汗をかいて、「あれ……私って実は汗っかきなのかな?」と思ってしまう方もいるでしょう。寒いから手袋やグローブをしているのに、中はびっしょり、となると不快ですよね。
暑くないときにも手汗が出る大きな要因は、自律神経のバランスにあります。
自律神経は、一定の体温を保ったり、血圧を維持したり、心臓を動かすなど、さまざまな体の機能を自動的にコントロールしていて、発汗もこの自律神経がコントロールしています。自律神経は交感神経と副交感神経に分かれており、交感神経がこの手汗に関係しています。
交感神経は、仕事や運動をするときに心臓を活発に動かしたり、体の動きを活発にさせるなどの役割を果たしています。この交感神経は、緊張しているときや強いストレスを感じたときに刺激されます。
大勢の前でスピーチする場面や、大切な試験の前に、ドキドキしてきて体や手が汗ばんできた経験、皆さんも心当たりがありませんか?これは緊張で交感神経が刺激されたことが原因です。つまり、まさに「手に汗握る」ような、緊張が高まる状況や場面では手汗をかきやすくなるのです。

2手汗には3段階のレベルがあった

ひとことに手汗といっても、やや湿っているくらいの状態から、びしょびしょの状態まで、度合いがあります。手汗にはその度合いに応じて、3段階のレベルがあります。

・レベル1
手のひらがじっとりと湿っており、誰かと手をつないだり、握手をすると湿っているのが相手に伝わる状態。

・レベル2
目視で手のひらの水分を確認でき、手のひらに水滴がある。べとべとした状態。

・レベル3
手汗が垂れるほど滴っている。

あなたの手汗レベルはいくつでしたか?レベル1であればさほど気になりませんが、レベル2以上だと気になってしまいそうです。なぜこんなに過剰な手汗が出るのでしょうか。

3コントロールできない……
過剰な手汗が出るワケ

もし手汗レベルがレベル2以上だったとしたら、そのままにしておくことは難しいですよね。ちょっと湿る程度ならまだしも、過剰な手汗はさすがに気になってしまいます。
中には、単なる汗とは思えないほど、ぐっしょりと汗で濡れるケースもあって、こうなると、もう誰かと手をつなぐのがためらわれるだけでなく、普段の生活を送るのにも不自由を感じるかと思います。
これらの過剰な手汗は、「精神的要因」「肥満」「ホルモンバランスの乱れ」「何らかの疾患」「生活習慣の乱れ」などの問題により、交感神経が過度に刺激されることが原因となって引き起こされるものと考えられています。刺激を受けた交感神経が、必要以上に手汗を分泌してしまうのです。

4自律神経のバランスが崩れる理由

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手汗の原因の中でもよく見られるのが、ストレスや緊張などの精神的要因です。この場合は、対症療法だけでなく、より根本的な対策をあわせて考える必要があります。
ストレスのある状態にさらされ続けていると、汗を出す機能がある交感神経にスイッチが入りっぱなしになってしまい、暑かろうが寒かろうが、関係なしに汗が出るようになります。ストレスフルな生活のほか、更年期などでホルモンバランスが崩れる場合にも、同様の症状が出ることがあります。

5また出てる……!
困った手汗を止めるには

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では、どうしたら過剰な手汗を止められるのでしょうか。それには、原因となる問題に対処していくことが必要になります。
まずは、過度なストレスや緊張などの精神的な要因を取り除いて、自律神経の働きを整えること。私たちはストレスの多い社会に生きています。そのため、意識的にストレスを減らして、自律神経を整える工夫が必要です。
ひとつには、手汗が気になること自体がストレスや緊張の元とならないよう、汗が出ても過剰に気にしすぎないようにしましょう。また、趣味やスポーツなどでうまくストレスを発散するのも良いでしょう。
また、自律神経の働きを整えるために大切なのは、生活習慣です。睡眠をしっかり取り、朝きちんと起きて日の光を浴びること、暴飲暴食をせずに、体にとって必要な栄養素を摂り、適度な運動をすることを心がけましょう。
バスタイムは睡眠とならんで、一日の中でも副交感神経が優位になる時なので、バスタイムにちょっとこだわるのも、自律神経のバランスを取るために良い方法です。まず、お風呂に入る時間は、「食後1時間後以上」で「寝る1時間くらい前」が体にも負担がかからず理想的。お風呂の温度は、熱すぎると交感神経を高めてしまうので、38~40度くらいのややぬるめが効果的です。
そして、無理に長風呂せず、自分で気持ちいいと感じる程度の時間、湯船につかってください。途中で熱いと感じたら1度湯船から出て、また入るという風にして、2、3回にわけて湯船につかるのも良いでしょう。 この他に自律神経を整える方法でおすすめなのは腹式呼吸です。
腹式呼吸をすることで、副交感神経を優位にし、交感神経の働きを落ち着かせることができます。なぜかというと、息を吐くときは副交感神経が優位になるのです。腹式呼吸をしてお腹の底から深く息を吐き、その吐く息に意識を集中することで副交感神経の働きを高めることができます。
腹式呼吸をする時には、背筋を伸ばして肩の力を抜いてください。そして、お腹をへこませながらゆっくり息を吐き出します。この時のポイントは、口から息を吐くのではなく、鼻から息を吐くことです。
そして、吐ききったら力を抜き、また鼻から自然に息を吸い込んでください。息をしっかり吐いていれば、吸い込む息は無理をしなくても自然と体の中に入ってきます。これをゆっくりと繰り返して、気持ちいいと感じるところでやめます。そのころには、かなり気分もスッキリしていることでしょう。
自分のペースで、吐く息に意識を向けながら、吸うよりも吐く方にゆっくりと時間をかけ、繰り返してくださいね。

6お手軽にいつでもツボ押しで
手汗を止めちゃおう

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生活習慣改善のほかに、ツボ押しでも汗を止めることができます。
生活習慣の改善には時間がかかるので、ツボを覚えておけばいざというときに心強いですね。汗を止めるのに有名なツボは、手にたくさんあるので、いくつか紹介します!

・後谿(こけい)
手を握ったとき、小指の付け根あたりにできるモコッと飛び出ている部分です。手相でいう、感情線がはじまるあたりです。後谿を、親指やペンで何度か強めに押すことで、体の熱を静めて全身の汗を抑える効果が期待できます。

・陰郄(いんげき)
手のひらを上に向けたときに、手首の小指側、脈を取る親指側の反対側の付け根のあたりにあります。このツボも体の余分な熱を取り、緊張したときなどの汗を抑えてくれます。

・労宮(ろうきゅう)
手を握ったときに、手のひらに中指の先があたるところにあります。深呼吸しながら押すと、気持ちを落ち着かせる効果があります。5秒押して5秒離すのを繰り返すと効果的です。

また、副交感神経を働かせるには手の爪の付け根側面をもむ「爪もみ」がおすすめです。
やり方は簡単。爪の付け根には、心身をリラックスさせるツボが密集しているので、爪の生え際のすみを反対の手でつまんでやさしく揉むだけです。揉みすぎると逆効果になってしまうこともあるので、1日2~3回程度を目安に揉んでみてください。 さらに、ツボ押しにプラスして、半側発汗(皮膚圧反射)で手汗を止める方法もあります。私たちの体は、圧迫されている側(半身)は汗が少なくなり、反対側の半身の汗が増えるという性質があります。これを「半側発汗」と言います。例えば、舞妓さんを思い浮かべてください。彼女たちは帯を胸の高さで締めていますよね。これは、顔の汗対策にもなっているのです。帯を胸の位置で締めて胸を圧迫することにより、顔の汗が抑えられるので、汗による化粧崩れが防げるといいます。
この方法を応用すると手汗に役立ちます。まずは、バストトップから5センチほど上を圧迫します。さりげない圧迫の方法は強めの腕組みがおすすめ。その他には、服の下で幅が広めの紐で強くしばったりすると、バレずに圧迫できます。これらの方法で圧迫している間は、上半身の汗を減らすことができます。上半身ということで、顔の汗だけでなく、手汗にも効果があるようです。

7冬にも手汗をかいてしまう
理由と対処法はコレ

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冬に手汗をかいてしまうのは、暖房の効いた室内と寒い外の気温差や、気圧の高さも原因となると言われています。
冬でも建物の中や電車の中などは、半袖でも過ごせるほど暖房で暖められており、暑いくらいになっていることがあります。しかし、一歩外へ出ると一気に寒い状態。この急激な温度変化が自律神経を乱してしまい、手汗につながるのです。 このように、冬場には手汗をかく原因が意外と多く潜んでいます。暖かい室内に入る前に上着を脱いで体に急激な気温変化を与えないようにしたり、寒いと思ったらすぐに何かを羽織るなど、寒暖差による自律神経のバランスの崩れを防ぐことで、手汗対策をしていきましょう。

8外出先での気になる手汗、
汗拭きシートでさっぱり
させましょう

どうしても気になって抑えられない手汗、外出先でさっぱりさせるなら、汗拭きシートを活用してみませんか。
汗拭きシートは汗や皮脂、べたつきがしっかり拭き取れるものが多いです。ひんやり爽快な状態になるものや肌をさらさらにしてさっぱり感が得られるものもあります。手汗が気になったらバッグから取り出してさっと拭くだけなので、簡単に手汗の悩みが軽減できますよ。

9まとめ

手汗に関する情報、いかがでしたか?
誰でもちょっとは気になっているはずの手汗。人によっては、生活にも支障をきたす大きな悩みとして、解決したいと切望されているかもしれません。手のひらはよく使い、人の目にもつきやすい部分だからこそ、手汗に悩まずにすむ状態にしたいですよね。
手汗対策の中には、副交感神経の働きを良くする腹式呼吸やバスタイムでのリラックス法など、日々の生活の中に取り入れやすいもの、ツボや汗拭きシートを利用した、すぐにできるものもあります。生活の中にそれらを自然となじませることで、無理なく効果的な対策ができますね。
ぜひ、ご自身のペースで手汗対策に取り組んでみてください。

  • 五味常明ドクター 写真

    PROFILE

    監修者:医学博士 
    五味常明先生

    昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践。わきがの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。TVや雑誌でも活躍中。流通経済大学スポーツ健康学部、客員教授。